「幸せの答え合わせ」(映画感想)

オスカー女優のアネット・ベニングとビル・ナイが離婚の危機を迎えた熟年夫婦を演じ、「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーが息子役で共演した家族ドラマ。イギリス南部にある海辺の町シーフォードで暮らすグレースとエドワードは、もうすぐ結婚29周年を迎えようとしていた。独立して家を出た一人息子のジェイミーが久しぶりに帰郷した週末のこと、エドワードは突然「家を出て行く」とグレースに別れを告げる。その理由を聞いてグレースは絶望と怒りに支配され、そんな母を支えるジェイミーも自身の生き方や人間関係を見つめ直していく。「グラディエーター」「永遠(とわ)の愛に生きて」でアカデミー脚本賞に2度ノミネートされたウィリアム・ニコルソンが、自身の実体験をベースに脚本を執筆し、自ら監督も手がけた。(「映画.com」より)


劇場で予告編を観て、アネット・ベニングとビル・ナイ、どちらも好きなので、これは観たい!と思いました。

主人公はこの2人の夫婦役と、それから息子役にジョシュ・オコナーの計3人です。登場人物が少ないので、舞台劇っぽいなあ…と思ったら、もともと戯曲だったらしい。


30年近く一緒にいた夫が、新たな恋をして家を出ていき、残された妻は夫の行動に納得がいかず何とか関係を修復しようとする…という、あるあるというか、正直めっちゃ既視感のあるストーリーですが、これがA.ベニングとB.ナイが演じると、とんでもなくリアルで、どちらの苦しみも伝わってくる!


事を荒立てたくない夫と、そんな彼を自分の思い通りに動かしたい妻。

この妻は言葉の1つ1つが辛辣で、夫の頬を叩いたりテーブルをひっくり返したりする。

そんなシーンを見た瞬間は、わー…これは奥さんが良くないわあ…と思うんだけど、でもここまでになってしまうプロセスを思うと、もう少し早い時期からお互いに意思疎通する努力をしておけば、と感じました。

だから、観ていて、どっちの方がより悪い、という感情が湧いてこない。

夫が言うように、最初から間違っていた、それを見ないふりをしてここまで来てしまった…それはきっと共に責任がある。

そしてそんな間違ってしまった2人の間に生まれた息子も、人間関係がうまく築けず苦しんでいる。


この映画に出てくるキャラクターは、母が強く、父と子はおとなしい。

きっと3人が共依存の絶妙な関係性の中で暮らしていたんだろうけど、父が自身の声を聴いて「イチ抜け」をする。

妻が夫への執着を手放すまでの葛藤も激しい(息子に依存したり、夫と新しいパートナーの家に乗り込んだり)…だけど、やっぱり強い人だから、時間と共に落ち着きを取り戻す。

そして、間違って一緒にいた家族かもしれないけど、苦しんだ分だけ、希望の持てるラストが待っている。


息子役のJ.オコナー、繊細で優しい佇まいが凄く素敵。儚げだけど、両親の別離によって大きく成長するというか、母のもとにいた時には眠っていた強さが出てくるところにぐっときました。

我が家も一人息子なので、こんな風に、保護してるつもりが実は依存してるんじゃないかとか、きちんと1人の大人として扱っているだろうか、とか。

勿論、夫との関係についても同様で、言わなければいけないこと、言ってはいけないこと、長い年月でゆるゆるになってないかどうか、考え直す機会を貰えました。


イギリスの海辺の美しい風景や、裕福で堅実な家の内装も凄く心に残りました。

ティーバッグをぎゅっと絞って紅茶を入れたり、半分残してシンクに捨てて、また新たなお茶を入れたり…そんな小さな習慣がある日、ぱりん!と壊れるような演出もすごい。


静かな分、小さな描写が胸に沁みる作品でした。

ゆとりらYOGA

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