「静かなる情熱 エミリ・ディキンスン」と「パターソン」
どちらも現在公開中の映画。
どちらも詩人が主人公の映画。
エミリ・ディキンスンのことは名前だけしか知らず、詩は読んだことがなかった。
でも、この映画を観てすぐに岩波文庫の詩集を買ってしまいました!
詩はもちろん泣けるくらい素晴らしい。
そして亀井俊介氏の翻訳がまた素晴らしい!
対訳形式で、注釈がたくさんついているので、この詩人の言葉をより近くで読んでいるような気持ちになれます。
「パターソン」は私達世代のカリスマ、ジム・ジャームッシュ監督の最新作。
永瀬正敏も出てます!大御所感あり!
ジム・ジャームッシュ監督作品は、い~い感じにかったるくて、今回も劇場で何度か寝落ちしそうになったのですが・・・でもつまらないのではなくて、終わってからじわじわ効いてきて、今もしみじみと「面白かったなあ」といろんな場面を脳内反芻・・・!
エミリ・ディキンスンは1830年に生まれ、人生の後半は、ほぼ隠遁生活を送った実在の女性。
パターソンは、現代のニュージャージー州でバスドライバーをしている創作上の人物。
この2つの作品の主人公は、どちらも、判で押したような日々を送りながら、心の中はいつも、瑞々しい感性で溢れています。
行動範囲も狭く、慎ましく暮らしの中に、感動や思索の種を見つける様子が胸に迫ります。
彼等は、YOGAの八支則を生活と詩作で実践しているYogiのようで、だから外の者とは戦わないし、外に刺激を求めようともしない。
人間の葛藤や歓喜の根本は内側にある、と知っているのでしょう。
「パターソン」の中で、臨時収入の入った主人公夫婦が「今日は贅沢しましょう」って言って、モノクロの怪奇物のクラシック映画を観に行くシーンがあって、素敵だなって思いました。こういう贅沢大好き!
勤勉であること。質素であること。
その中に、美と喜びを見出すことが出来る人になりたい。
どちらも静かで厳しくて、そして優しい作品です。
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