「ハイジ」を観て読みました。
少し前ですが、シネリーブル梅田で、映画「ハイジ アルプスの物語」を観ました。
小学生の頃、児童書で初めてハイジに出会いました。その後アニメ。
アニメも好きで、リアルタイムで観てましたけど、細かいとこまでは憶えてない。
本の方が好きで、繰り返し読みました。
(記憶では、原作者の名前は「シュピリ」ではなく当時は「スピリ」と表記されてたと思う・・・)
映画は、風景がとても美しくて、ハイジは原作通り、細身でちっちゃくて黒いちぢれっ毛で、アルムのおじいさんもまた、アニメよりも原作のイメージに近い荒くれキャラ。
ちなみにおじいさんを演じるのは、「ヒトラー~最後の12日間~」主演のブルーノ・ガンツ!振り幅大きすぎ(((ʘ ʘ;)))
実写版映画には、ヨーゼフは出てこないし、大きなブランコもないんですけど!
でもアニメを彷彿とさせるような描写もあって(クララの服がブルーとか)、じんわり懐かしく鑑賞。
帰ってすぐに図書館で原作本を借りました!
子どもの頃読んだ本はもう手元にないので、訳者も出版社もわからない。児童文学シリーズものの1冊で、きっと抄訳だったんだと思います。なぜなら今回再読した福音館古典童話シリーズ(訳は矢川澄子先生)は凄く分厚い長編だから。
一気に読んで、激しく感動!
ハイジが何かあると跳ねたり踊ったりしててめっちゃ可愛い。
その音は、きくものの耳に、胸に、いかにもやさしくしみわたり、きいているうちにハイジはすっかりたのしくなってきて、よほどうれしいことでもあったみたいに、木の下をぴょんぴょんはねまわりはじめました。(P33)
ハイジは、そうっとかたっぽのやぎをなで、それからもう一ぴきをなで、まわりをとびまわって二ひきをまた反対側からもなでてやりました。やぎたちがかわいくて、うれしくてたまらなかったのです。(P34)
ハイジはいうことをきき、それから、おじいさんのあとについて、こおどりしながら小屋に入って行きました。(P259)
ハイジはハイジでそのそばを歩きながら、とめどもなくこおどりしつづけていました。おばあの今後のことを考えると、うれしくて、ついつい一歩ごとにとび上がってしまうのでした。(P495)
改めて読んで、登場人物たちのそばには、いつも敬虔な信仰心があるのだと気づきました。昔読んだ抄訳には、このあたりの描写が略されていたのではないかなと思います。
ハイジは、お祈りするという行為をクララのおばあさまによって教えられ、アルムのおじいさんは、ずっと遠ざけていた信仰を、ハイジによって取り戻します。
おじいさんは、ハイジが現われるまで、孤独に山の上で1人暮らしていたのですが、その過程はアニメでは描かれていたのかしら・・・原作ではおじいさんの過去の過ちや、牧師さんとの和解の描写があります。
それから、この作品には、子どもが(というより人が)必ず通る、様々な経験や感情の波がストーリーに組み込まれていて、それが普遍的な面白さに繋がっているんだな、と感じました。
大人から受ける愛情とか、友情とか、自然への感謝や憧憬とか、奉仕とか、教育の大切さとか、ある種の諦観とか、嫉妬とか、その他いっぱい!
矢川澄子先生の訳も素晴らしいです。
もう1種類、岩波少年文庫版も読んでみたけど、福音館の方が、おじいさんやクララのおばあさまの台詞に人間味があるというか。
とにかく全編通して、格調高くて温かい!
例えば後半のこんな描写。
こうして夕方になって、ハイジはふたたび山をのぼって行きましたが、おりから星が一つ、また一つと頭上にまたたきはじめ、きらきらとあかるいひかりを投げかけてきました。何かこう、どの星もハイジの胸にあらためて大きなよろこびをそそぎこもうとしているようで、ハイジは一足ごとに立ちどまって、空を見上げずにはいられませんでした。そして満天の星がいよいよあかるく、たのしげにこちらを見おろしているさまに、思わず大声を上げて呼びかけたのです。
「そうよ、あたしにはわかってるのよ。どうすればよくなるかは、神さまがちゃんとごぞんじですものね。だからこそ、こんなにたのしく、安心していられるんだわ!(P398)
今回、久しぶりに読み返してみて、小さい頃に読んだ他の作品も改めて読みたくなりました。
「若草物語」や「小公女」や「秘密の花園」などなど。
今読んだら、当時とは全く違う視点で感じるところがあると思います。
0コメント