映画「まなぶ」を観ました。
大阪・シアターセブンで「まなぶ」というドキュメンタリー映画を観てきました。
現在、日本には通信課程の中学校は2校しかないらしいです。夜間中学はもっとたくさんあるようですが。
いずれも、戦前、戦中(戦後の場合も!)に小学校を卒業して中学に進学できなかった人を対象に開かれています。
ですので、この作品に登場する生徒は70歳以上の人達。それぞれが、戦後の混乱期を必死で生き抜いてこられた方ばかり。
カメラは、そんな人達の授業風景や(通信制は、月2回登校授業があるらしい)、中には自宅や、若い頃の思い出の場所にまでついて行き、当時と今の心情を映し出します。
1人1人に壮絶なドラマがあり、小学校卒業後、学べなかった辛い事情がある。
でも皆さん、間に合った~!という感じで、生き生きと、本当に楽しそうに学んでいる。
観ながら「まなぶ」という言葉の本当の意味をずっと考えていました。
映画の後半、無事中学校を卒業した男性が、勉強の意味を聞かれて
「心が豊かになるよね」と答えていたシーンが胸に沁みました。
この男性は、小学校卒業後、奉公先から中学に行かせてやる、と言われた約束も反故にされて、ずっと安いお給料で働き通しだったそうです。いろんな技術を身につけても、中学を出ていないということで免許をとれないことも多く、若い頃は荒れた生活をしていたとも。
でも、70歳を過ぎて、年上の奥さんの介護をしながら、中学校に通って、先生と語り合う。
この方が卒業式で答辞を読んでいる時、彼よりずっと若い先生方は、感動で涙をこらえている。
学びたくて学びたくて仕方なかったのに、学べないまま社会に放り出されて、晩年の今、学べる喜びを感じている人と、
学びの意味を知ることのないまま、保護者に言われていやいや勉強せざるを得ない今の子ども。
どっちが幸せだろうか。
今を生きる幸せを享受できているのはどちらだろうか。
私は学校大嫌いだったので、学生だった当時は「まなぶ」ことの意味を全く見いだせませんでした。
でも、興味のある本だけをずっと読み続けたり、好きなことを好きなように書き散らす楽しさは知っていて、実はそのことは逆説的に、学校教育という、自分には全く合わない場所から自分を守るために探し当てることができたんじゃないか、と、思ったり。
そして、この映画に出てくる方々の足元にも及ばないけれど、私も、ずっと学び続けたい、と思います。
心が豊かになる、という言葉を心の中で反芻しながら、帰途につきました。
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