「カモン カモン」(映画感想)
ホアキン・フェニックス主演作品を初めて観ました。
話題作の「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」も「ジョーカー」も未見なので。
監督のマイク・ミルズ作品は、「人生はビギナーズ」「20センチュリー・ウーマン」がどちらも親子関係を軸にしたストーリーで、静かなユーモアが印象的でした。「~ビギナーズ」では人の言葉を喋るわんこが出てきたりして🐾
どっちも明るい話ではないんだけど、陰気な感じがしなくて、ちゃんと将来への道が延びていく希望がある・・・好きです。
「カモン カモン」も明るくはない。兄と妹、夫婦、親子、叔父と甥、それぞれの溝を認め、関係を再構築していくお話。
9歳の少年、ジェシー役の子がめっちゃ魅力的です。この子の成長譚でもあって、複雑な家庭環境から、数日間離されて叔父と過ごすうちに、自身と他者に向き合う能力が開花していく。そしてそんな彼を見て、叔父も母親も目の前の課題に取り組むようになっていく…。
大人は、自分達が子どもを世話し導くと思い込んでいるけど、子どもの感性やその成長過程から気づきを得る側面も持つのだと教えられます。
観ながら、ぐぐ~っと遡って、自分の息子が9歳の時、そして自分が9歳の時のことを思い出しました。
息子も私も、無邪気なふりをして、大人の言動をしっかり観察している子どもでした。
観察眼と批判精神をちゃんと持っていて、でもその表現方法が稚拙だから、可愛くないとか生意気と言われ、発言の場を失っていくような子どもでした。
本当はその稚拙さを「子どもらしさ」と言うんでしょうけど。
今の「子どもらしさ」の定義って、語彙が少なくて、きゃはははっ!とよく笑って、大人に気まずい思いをさせない…自分も含めて、そんな子どもを可愛いと思ってしまう傾向がある気がします。
だけどその内面には、大人は忘れてしまった感情の細かい襞がたくさんあって。
経験が少ない分、思い込みや偏見ではなく、お母さんのお腹の中にいる時から培ってきたような繊細な輝きがあったはず。
社会で暮らしていくうちにその輝きに「思惑」が上書きされていってしまうのかも。
小さいお子さんがいる人や、子どもの頃の感性を思い出したい人に、超おすすめです!
全編モノクロで、L.Aとニューヨークの差がカラー程大きく見えないのがすごく良いなあ、と思いました。
環境が変わったことで成長したというよりは、叔父と甥の心がぶつかった末に寄り添った感じが、静かな映像から伝わってきたので。
ホアキン・フェニックス。
早世した、リヴァー・フェニックスの4つ下の弟で、この人を見たらどうしてもお兄さんを思い出してしまうので、映画館で観ようと思った事はなかったんですが…全然似てない😶
リヴァーがもし生きていたら52歳か!来年は没後30年です🕯️
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