映画「チャンス」を観ました
「午前10時の映画祭」にて、1979年製作のアメリカ映画「チャンス」を観ました。
ピーター・セラーズ主演、シャーリー・マクレーンやメルヴィン・ダグラス等のキャストも魅力で、いつか観たいと思っていたので期待値大!で映画館に行ったのですが・・・
前半は「???」の連続で、大きな盛り上がりも驚くような展開もまったくない。
そして、主人公のチャンスを演じるピーター・セラーズがとにかく抑揚がなくて一本調子に見える。
なんなんこれ・・・と思ってると・・・
相変わらず淡々とお話が進むだけなんだけど、観てるこっちの感覚が少しずつ動き出すのを自覚!
そうすると、ぼーっと観てた前半にも、実は物凄く深いメッセージがあるんじゃないか、と思えてきて。
ラストがいろいろとびっくりなんで、観終わった直後はキツネに抓まれたような気分でしたが、時間が経つとじわじわきます!
時代背景として、TVが情報収集の最大のツールになっていることとか、当時のカーター政権の失敗で景気が悪かったこととか・・・そういった社会情勢を皮肉っているような描写もたくさんあったし、これって元ネタは聖書?みたいなところもあったし、人種差別に物申すみたいなシーンも。
いろんなメタファーがてんこ盛りなので、観終わった後、脳内でいろいろ捏ね繰り回す楽しみがある。
でも、ただするーっと観るだけだと、面白くなかった、で終わってしまう、多分。
原題は「Being There」。
観終わった後は、このタイトルの意味を思って唸りました。
邦題の「チャンス」というのは主人公の名前で、別にラッキーとかグッドタイミングとかそういう意味のタイトルではないんです。
このチャンスの存在がまさに原題のまま。
彼はただそこにいるだけ。
聞かれたことに、最小限の言葉で応えるだけ。
その存在と言葉を、周りの人々は、それぞれの思惑で解釈し、彼を祀り上げていく。
だけど、彼は「そこにいるだけ」だから、祀り上げられてもその気にならない。神輿には乗らない。
そして、彼は何故そんな存在なのか・・・?
むちゃくちゃ面白いです。
なのに、毎回覚え書きにUPしてる映画レビューサイト「coco」では、この映画の感想は私を含めて3本しか上がってない・・・名作と違うん?
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