「ヒキコモリ漂流記」読感
去年の夏に出版された、芸人・山田ルイ53世氏の著作。図書館にリクエストかけたらすっごい人気で、やっと回ってきました・・・
私、髭男爵ってほとんど見たことなくて、タモリ倶楽部で1度「ワイングラスの値段でワインの味は変わるのか」みたいな企画に出てたのを見ました。そしたら高いグラスをちーん、ってする時にビビってたり、相方の人がお酒弱いらしく本番中に半分寝てたり、とかなり残念な展開で・・・案の定、その後タモリ倶楽部では見かけませんヽ(´A`)ノ
でも、この本出た時に結構話題になったので、読みたいと思ってたんですよね~。
この方は小学校の頃から出来が良くて、晴れて神戸の六甲中という有名男子校に合格するんですが、中2で引き籠りになり、そこからタイトル通り、大人になるまで漂流しまくるという、ヒリヒリするような半生・・・
読感としては、この人、文章上手いなあ!に尽きます。内容も相当ヘビーなんだけど、何より表現力がすごい。笑わされたり、じん、とさせられるのに「盛ってる」感じがしないです。東海林さだお氏のエッセイのような面白さ。
構成のクレジットとかないから、本人が書いたと信じたい。
それから、とにかく勉強頭(べんきょうあたま)が良い!出来が違う!進学塾行かずに有名中学入るし、引き籠ってるのに独学で大検通って、地方の国立大に入れちゃう。
もちろん、実際は相当な努力をしてるんだろうけど、もう持ってるモノが違うんだなあ~とため息が出ました。
そして凄いのは、その勉強頭の良さを、現実社会で殆ど活かすことなく今がある、というとこ。もったいなさすぎヾ(ω` )/
それは、ちょいちょい出てくる、家族を含めた、この人の出自というか生育歴に深い関係がありそうです。
良い学校、良い会社、入りたくても入れない人が多い。入れてもそれが幸せに繋がっていくとは限らない。むしろ入れたことで、そこから降りることが出来ず苦しむ様が、すごい推進力のある文章で綴られています。
何しろこの人はいいとこ入っちゃあ降りる、の繰り返しなんで、いい加減学べばいいのに、と読みながらハラハラするんですけど・・・
良いとこ入ることで、囚われちゃう、縛られちゃう人生って結構あると思う。
あと、頑張れば叶う、とか、夢を諦めない、とかのワードは、ゴールをどこに置いてるかでぜんっぜん意味が変わってきますね。
思いっきりやってイケたかコケたかの経験値を持つ人は、こういう言葉の無意味さを知ってるような気がします。
この本は、そういう安易な言葉がなくて、とにかくはっきりしてる。情景も心中も描写が具体的でとても好きです。
まだ私の後に待ってる人がたくさんいるみたいなんで、早く返さないと!
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