「ぶあいそうな手紙」(映画感想)
手紙の代読と代筆を通して交流を深めていく老人と娘の姿を、おかしくも温かく描いたブラジル発のハートウォーミングストーリー。ブラジル南部のポルトアレグレに暮らす78歳のエルネスト。隣国ウルグアイからブラジルにやって来て46年になるエルネストは、頑固で融通がきかず、うんちく好きの独居老人だ。老境を迎え、視力をほとんど失ってしまったため大好きな読書もままならなくなってしまった彼のもとに一通の手紙が届く。手紙の差出人はウルグアイ時代の友人の妻だった。手紙が読めないエルネストは、偶然知り合ったブラジル娘のビアに手紙を読んでくれるように頼む。手紙の代読と手紙の代筆のため、ビアがエルネストの部屋に出入りするようになるが……。主人公エルネスト役をウルグアイ映画「ウィスキー」に主演した名優ホルヘ・ボラーニが演じる。ブラジル・サンパウロ国際映画祭批評家賞、ウルグアイ・プンタデルエステ国際映画祭では観客賞と最優秀男優賞を受賞。
(「映画.com」より)
予告編で観た時に、面白そう…と思ったので鑑賞。観るまでブラジル映画だって知らなかったんですけど(´・ω・)
視力を失った老人の代わりに若い女性が手紙を読み、返事を代筆してあげる…何となく先が見えるストーリーかと思いきや、この女性が手癖が悪くて男の趣味も悪い(。>ㅅ<。)
根は悪い子じゃないんだけど、ちょっと問題アリで、でも老人は、説教も過度な同情もせず、ただ在るものを与え、彼女からは、素直な表現力や行動力を受け取る、というお話。
それなりに大きな事件やアクシデントが起こるけど、ブラジルというお国柄なのか大らかに進んでいくのが凄く心地いい。世知辛い感じがあんまりないというか。
だけど、観終わった後、すごく沢山の課題を貰ったような気分になりました。
主人公のエルネストは、徐々に眼が見えなくなっていて、でも杖も持たず、息子の提案も拒否して、今までの家での独居に固執する。
彼がそこまで頑固になっているのは、何かに腹を立てているからで、その理由はとても淡くじわじわと、でも確実に描かれているように私には感じられました。あからさまな描写はないのですが。
こんな風に、あからさまな描写がない映画がとても好きです。何というか、信頼されてるなあ…と嬉しくなります。
瑞々しい感性は年齢には関係なく持つことが出来るし、うんと年が離れている人同士でも、気持ちを共有することが出来る。
映画のようにうまくはいかなくても、チャレンジする価値はあるんじゃないか、という気持ちになりました。
ここ数か月間、自分の気持ちを維持する難しさを痛感していたのですが、改めて、他者との関係性もきちんと意識して構築していきたいな、と。
ところで、老人男性と若い女性、という組み合わせはピーター・オトゥールの遺作「ヴィーナス」も面白かった。こっちは少々エロティック。
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