「マンク」（映画感想）

「ソーシャル・ネットワーク」「ゴーン・ガール」の鬼才デビッド・フィンチャーがメガホンをとり、「ウィンストン・チャーチル　ヒトラーから世界を救った男」のオスカー俳優ゲイリー・オールドマンが、不朽の名作「市民ケーン」の脚本家ハーマン・J・マンキウィッツを演じたNetflixオリジナル映画。フィンチャー監督の父ジャック・フィンチャーの遺稿を映画化した。1930年代のハリウッド。脚本家マンクはアルコール依存症に苦しみながら、新たな脚本「市民ケーン」の仕上げに追われていた。同作へのオマージュも散りばめつつ、機知と風刺に富んだマンクの視点から、名作誕生の壮絶な舞台裏と、ハリウッド黄金期の光と影を描き出す。「マンマ・ミーア！」のアマンダ・セイフライド、「白雪姫と鏡の女王」のリリー・コリンズ、テレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のチャールズ・ダンスら豪華キャストが個性豊かな登場人物たちを演じる。Netflixで2020年12月4日から配信。一部の映画館で11月20日から劇場公開。（「映画.com」より）

「市民ケーン」（1941）は、数年前、特集上映で観ました。どこかで見たようなシーンが多いなあ…と思いましたがそれは逆で、「市民ケーン」がパイオニアでそこから新たなカメラワークや演出法が広まっていったそうです。

で、やっぱりオーソン・ウェルズの存在感が凄かった！

この「マンク」は「市民ケーン」が出来るまでを、脚本家のハーマン・J・マンキウィッツを主人公にして描いています。

才能はあるけど、アルコール依存症で自律心がなく、だけど仲間を思い、上層部と闘う行動力を持つ…という複雑で魅力のあるキャラクター。

「市民ケーン」を観ていないとよくわからないところも沢山あるのですが、主演のゲイリー・オールドマンが素晴らしい！それからモノクロの映像が凄く美しいのでおすすめです！

この作品に出てくるルイス・B・メイヤー（MGMの創設者）は、「Judy～虹の彼方に」でも子役時代のジュディ・ガーランドにハラスメントしまくる暴君として出ていました。

また、アーヴィング・タルバーグも、アカデミー賞に「アービング・G・タルバーグ賞」があるほどのプロデューサーですが、この作品では、冷徹で、子飼いの監督達を追い詰めて破滅させる…という、体制側の悪役として描かれています。

1930年代～のハリウッドシステムと、それに立ち向かうアーティストの対立。そこにカリフォルニア州知事選や赤狩り等の対決も乗っかってストーリーは若干複雑だけど、最後は脚本のクレジット権を巡って熾烈な争いが起こるとことか、めっちゃ面白い。芸術と思想と名声とお金…どれもみんな欲しいよなあ、と。