「ウエスト・サイド・ストーリー」(映画感想)
S.スピルバーグ監督のリメイク作品(初のミュージカル映画らしい!)ということで、興味津々で待っておりました。
コロナ禍のせいで公開が遅れてたらしく、ずいぶん前から、撮ってます今撮ってますっていう情報ばかりでしたが、ようやく!
1961年の旧作はリバイバル上映やDVDで何度も観ました。
とにかく、曲とダンスが素晴らしいし、ソウル・バスのオープニングやエンディングがカッコ良いし…そして町山智浩氏の解説を聴いて、当時のNYの移民差別問題とか、白人の中にも差別があることなどを知って、ますます大好きな、興味深い1本になりました。
今回のスピルバーグ版は、旧作にほぼ忠実、ではあるのですが、曲の置き所や構図が違う部分があります。それって曲の意味が変わってるということで(歌詞は変わってない)それでも違和感がないということは、これやっぱりスピルバーグ・マジックだよね!と思いました。曲が普遍的と言うこともありますね!
(※追記…これ、調べてみたら、新版の楽曲はオリジナル(ブロードウェイの舞台)と同じなんだそうです。スピルバーグではなくロバート・ワイズ・マジックということか…しかも60年前に!)
それから、後半以降、アニータがドクの店に伝言を届けに行くシーンで、スピルバーグ流の演出があり、短いシーンながらもめちゃくちゃ印象に残りました…ありがとうありがとう!
これは今回の大きな目玉でもあるんですが、旧作でアニータを演じていたリタ・モレノが再登板していまして、御年90歳!当時のエキゾチックな面影はなくて肌が白く美しいおばあちゃんになっていました。
観る前までは、カメオ出演程度なのかな、と思っていたのに、ソロを歌ったり、トニーに抱え上げられたりしてて、すっごい存在感です。
彼女の出演はちょっと不思議な構造で、新作は、旧作から○○年後、とかではなく、本当に旧作同様1950年代後半のNYを舞台にしていて、彼女の役は、旧作では男性が演じていました。
だけど、その男性と彼女が結婚したような錯覚に陥る設定に(多分)敢えてしてあって、白人移民の男性と結婚したプエルトリコ移民の彼女が、白人がたむろする店の女主人になっている(夫には先立たれています)。
この設定で、彼女が、対立するジェット団とシャーク団の架け橋のような役割になっていて、ぐん!と重層的になって、おまけに彼女の店に、アニータが現れるシーンとかは、もうもうストーリーと新旧2人のキャストの邂逅とそれからそれから…!みたいなよく分からない感情が渦巻きました。
とにかくリタ・モレノが出てるシーンはすべて、背景に分厚いヒストリーがある。
出番が多くて嬉しかったです!
キャストも、中盤くらいまではどうしても旧作と比べてしまってたんだけど、大枠では似てるけど1人1人は全然違う、という感じでした。似てると思ったのは、主人公2人が薄目でキレイ目、脇はみな濃い目😍
リフ役のマイク・ファイストはめちゃくちゃ良かった!
旧作のラス・タンブリンも大好きだったけど全く違うタイプで、新作ではこのリフとトニーの関係性がより深く描かれています。
ところで、観終わって帰宅したら、ロシアがウクライナに侵攻したというニュースが。
祈ること
知ろうとすること
情報を疑うこと
奇しくもこの作品ですべて描かれていたこと!
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