映画「サウルの息子」を観ました
2015年・第68回カンヌ国際映画祭でグランプリ、第88回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞したハンガリー映画。アウシュビッツ解放70周年を記念して製作され、強制収容所で死体処理に従事するユダヤ人のサウルが、息子の遺体を見つけ、ユダヤ教の教義に基づき葬ろうとする姿や、大量殺戮が行われていた収容所の実態を描いた。(映画.comより)
映画評論家・町山智浩氏も、ライムスターの宇多丸師匠も大絶賛のこちら。
公開前からすごく興味があって、でも、かなりの衝撃作のようで、観るの怖いな・・・でも観たいな・・・と、ずっと逡巡してました。
で、今日、思い切って覚悟を決めて、体調も整えて、行って参りました!
・・・評判通りの凄い作品でした・・・
もうアヴァンタイトルから逃げ出したくなるくらいの衝撃・・・
舞台は、第二次世界大戦下のアウシュビッツ・ビルケナウ収容所。
物語は、ゾンダーコマンドと呼ばれる特殊部隊の主人公・サウルの顔のアップと、彼の目にこのように映っているだろう、全く焦点の合っていないぼやけた映像で進みます。
現実の凄惨さに、心を動かすことを拒絶して、ただ、命令に従い仕事をこなす(そうしないと殺されるから)主人公が、ある少年の遺体を見つけて、思い切った行動に出る・・・というお話。
この、現実の凄惨さというのが、映画の中のファンタジーではなく、歴史的事実、というのが、本当に胸を抉られるような思いにさせられます。
でも、この歴史的事実の映像は、本当にあった事実よりも、たぶん数十倍も薄められて(だってぼやけててはっきり映ってないから)それなのに音声はやけにリアルで、そのことが薄められた映像を軽く凌駕して、惨さを生々しく描写するという・・・
本当にしんどい鑑賞でした!
上映中は場内ところどころから溜息や唸り声みたいなのも起きてましたし。
観終わった後は、眩暈がして、帰り道もちょっとふらふらしました・・・。
それでも劇場で観れて良かったと思います。最後まで観た自分を褒めてあげたい。
平凡に穏やかに過ごしていた人々が、ある日突然、強制収容所に連行され、ガス室に詰め込まれて殺される。
たかだか70数年前にドイツやポーランドで普通に行われていた事実です。
私は
肉体は単なる入れ物で、私自身の魂は永遠である
とか
私の肉体がこの世からなくなるのも大きなシステムの1つ
と知っているけれど、
それでも、
何の心の準備もなく、全てをはぎ取られて、天井から吹き出る毒ガスで殺されるような苦しみは絶対に味わいたくない、と思います。
というより、
そんな理不尽な状況の中、
私は何をしようとするだろうか
何かに縋ろうとするだろうか
何かを残そうとするだろうか
などと、ぐるぐるわんわん、思い切り頭を使わされる作品でした。あ、頭だけじゃなくて体力もいります!相当!
もうすぐこれも公開されるんですよ。絶対観ます。
ちなみに、収容所を描いた作品として、これは有名。でもすべてタイトル通りビューティフルに描かれ過ぎてる気も・・・
基本はやっぱりこれじゃないでしょうか。タイトルは知ってる、教科書で読んだ、って人は多いと思うんですが。絶対全編読むべきだと思います!
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