「これやこの」(読書感想)
昨日の投稿の続きになりますが…亡くなった人の思い出を書いたのは、この本を読んだから。
漫才師で日本語言語学者、サンキュータツオ氏の随筆集。
この方は、広辞苑の最新版(第七版)の執筆陣にも名を連ねているんですよ!サブカルチャー担当(´∇`。*)
「渋谷らくご」(いつかは行きたい!)のキュレーターも務めていて、前半は、2016年に亡くなった柳家喜多八師匠、2018年に亡くなった立川左談次師匠の最晩年の高座の様子を細かく描写しています。
この本の帯の一文
「記憶を語り継ぐことだけが、師匠たちを死なせない唯一の方法だ」
に集約される、凄まじいルポルタージュ。
後半は、今迄出会って、そして死に別れた身内や友人知人たちについて。
この人は小学2年生の時に父親を癌で亡くしているそうで、きっといつの間にか、死んだ人を偲ぶその手法を、とても真っ当に健全に身に着けたのだと思います。
生きていつかは必ず死ぬ、という当たり前の営みを当たり前に受け止める。
悲しむことも悔いることも全部込みで。
若い頃は、大事な人や物を失う想像なんてしたことなかったけど、当然のことながら、歳を重ねると少しずつ少しずつ大事なピースが欠けていく。
直接の知り合いじゃなくても、ずっと追っていた作家や、芸人、役者…この人が逝ってしまったら自分立ち直れるかな…と心に思う人が、私にも何人かいます。
出会いの歓びも別れの悲しみも堪能したら、その後は引き摺らず、自分と今生との別れに精魂を傾けたい。
その為には、きちんと向き合ってこなかった今までの別れをきちんと棚卸ししたい。
自分自身は、身綺麗にして、忘れ物のないように別れたい。
この本を読むとそんな風に思います。
トークもめちゃめちゃ面白い。こちらは屁理屈おじさんたちのラジオ番組。ファンです!
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